童話作家として知られるハンス・クリスチャン・アンデルセンは「即興詩人」という長編小説も書きました。
森鴎外が日本語に訳したことでも知られている作品です。
鴎外訳は雅な文語文です。今回は口語訳版を読みました。
主人公はアントニオという名前で即興詩を読む特技を持っています。そのアントニオがイタリア各地を舞台に数奇な運命に翻弄されるという内容の小説です。
小説の中でアントニオはギターを弾きながら即興で詩を読みます。ナポリの劇場で「セビリアの理髪師」のオペラの公演の後に1人で舞台に立ち、即興詩を読むシーンは想像するだけで緊張しそうです。
「即興詩人」が刊行されたのが1835年です。物語の中の時間軸もおそらくそれくらいです。ということはアントニオが使っているギターは19世紀ギターということになります。
たまたま読んでいた小説に偶然19世紀ギターが出てきて嬉しくなりました😊
ちなみに作中でアントニオがヴェネツィア到着後に聴いたゴンドラ乗りの歌は以前このブログで話題にした「ゴンドラの唄」の歌詞のモデルになったようです。知っている歌の歌詞に似た歌が突然作中に出てきて、少し驚きました。
このような偶然があると、その作品により愛着が湧きます。