ポール・オースターの『闇の中の男』を読みました。70代の老人が主人公なのですが、感情移入して楽しく読めました。
楽しくといっても、驚くほど残酷な描写もあるので、そこは読んでいて苦しかったです。文章の力はすごいですね。
この作家を好きな理由は沢山ありますが、一つは作品の舞台がニューヨークである場合が多いことです。知っている場所が出てくるとイメージしやすくて惹き込まれます。色々な場所に行ったり、様々な経験することで小説はいくらでも面白くなるのかもしれませんね。20代の時にもっと旅行すれば良かったです。
今回の小説では主人公の亡くなった妻が歌手で、出会った当時はジュリアード音楽院の学生でした。ジュリアードは以前マンハッタンのアッパーウエストサイドにあるコロンビア大学のそばにありました。
その後ジュリアードは移転して、その建物はマンハッタン音楽院になりました。私はそこに通っていたので、その付近のことをよく知っています。
主人公とその妻の出会ったブロードウェイの道の景色がありありと想像できて、強い印象を受けました。私も毎日同じ道を通って通学していました。時代は全然違いますが。
植木
植木